差金
人を陰からそそのかすのが「差金」

この「差金・指金」の語源説。
二つあるのですが、どちらも「芸能語」であるといいます。

芸能語とは、舞台から降りてきた(主に歌舞伎)日常に登場する言葉たち

一つは、「人形芝居の操り人形」に使う言葉で、

 人形の腕の横に取り付けた長い棒を「差金」と称し、
 この左右に麻紐が付いていて、
 これを引く事で手首や指先を動かす。

 『戯場楽屋図絵』(しばいがくやずえ・寛政12年刊)に、
 “抓手 つかみで”“招き手”“三味線手”などの図をあげ、

 「差金 堅木にてつくる。好みによりて黒塗りに仕たるもあり。
  右の方、七寸余、左、壱尺四寸余」 と記す。

 これはもちろん、突っ込み(衣装の裾から遣い手が両手を差し込む一人遣い)の時代ではなく、
 三人遣いになってからの工夫で、

 左手は、左遣いが、右手で操るため、右よりも「差金」の寸法が長くなっている。

 この「差金」も、陰から操る意義として成り立つ。

そして、もう一つの例。

歌舞伎小道具の「差金」。

 鳥であるとか、蝶・鼠・狆 などの小動物が舞台上を動き回る時、
 それらを黒塗りの細い竹竿(女竹)の先端につけ、
 弾力を応用して後見が操作する。

 この竹棒の部分を 「差金」 といっている。

後者の方も「陰で操る」の意に当てはまりますね。

本では「どちらも甲乙付けがたい」と載っています。

最後にこんな文章も載っていました。

英語で pull the wires (針金を引く)というと、陰で糸を引く、陰で操るの意。
    wire puller といえば、操り人形の人形遣い。
    さらに、影武者とか、黒幕の意にもちいられる。

(芸能語源散策  小池章太郎著 より抜粋)

この本には、他にも、
「きんぴら」「市松文様」「正念場」「ぴんはね」「おでん」「なあなあ」、、

普段私たちが何気なく使っている言葉の素性が紹介されています。

差金、、、

道具から出た言葉は確かに多いのですが、
歌舞伎や人形から、、、というとまたなんだか面白い。

私は、どちらの説か、、、なんて考えてみると、
人形の方も御もっともな感じもしますし、
後見さんのことを考えたら、ふむふむ、、とも。思えてしまいます。

皆さんはどちらだとお思いですか?
また、実は他に説が、、、なんて話も出たりして、、。

12 thoughts on “「差金」の意外な由来、、

  1. 歌舞伎小道具の「差金」のほうは知っていたんですが、前者の「人形芝居の操り人形」説は初めて聞きました。 う~ん・・・語源の奥は深いですねぇ。

  2. 覚えていただけたなら、この記事を書いたかいがあるってモノです(笑) ソレを踏まえて読み返してみると、「陰で手を引く、、」ってのがよくわかるはず、、、。

  3. おぉ!なるほど~!! 「お代官様・・・」「おぬしも悪じゃのう」と、差し出すお金のやり取りから来るのか?なんて勝手に思ってましたよ^_^; 言葉の由来、面白いですね♪ またまた 教えてください

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