「あがる石段 心はそぞろ
天神様をかこつけて 思ひの闇の梅が香を
涙でむすぶ 待ち人や
聞く声色も あぢきなく
あの月影の 寒そさうな
二人片羽の 影と影」
これは、古い小唄の本を見ていて、偶然見つけた小唄です。
私もこんな小唄の存在は知りませんでした。
新内の代表作の一つ「婦系図(おんなけいず)」
恋人(内緒の恋人)「お蔦」と「師匠」の間にはさまれた「力(ちから)」のお話。
力は、師匠に内緒でお蔦とプラトニック。
しかし、力にとっては命に変えられない師匠から、
お蔦との別れを迫られます、、、。
「泉鏡花」さんの代表的な作品で、
新派によって有名になりました。
原作では、最後の方はばたばたと芝居のようにまとまります。
しかし、これもやはり悲しいお話。
派によって色々な「婦系図」がありますが、
私の「如月派」の歌いだしに、上記の小唄に似た歌詞があります。
春ながら さす宵月の
影さえて 誰(たが) 白梅と
しのぶ身の 肩寄せ合いし 影法師
この唄い出しは、力とお蔦の二人が歩いているところに繋がりますが、
上記の小唄は、「湯島境内をうたったもの」とありました。
小唄の内容はお蔦の心なんでしょう。
「涙で結ぶ待ち人や」とあります。
お蔦は「どうせ私は日影の身ですもの。」といっています。
少し「婦系図」を紹介したいと思います。
好きでも、元は芸者の身、女房にはなれない。でも、二人は純愛。
ある日お蔦は力に別れを切り出されます。
お蔦は 「別れろ、切れろは芸者のときに云う事よ。今の私に死ねと言ってくださいな。
死ねなら アィ 言います。私、命など惜しくないのよ。」
そういうお蔦に、力は
「その命と俺の命を 二つ合わせても足りない程の大切なお方を知っているだろう。
お前が神仏を念ずるより まず第一に拝むといった その言葉に嘘が無けりゃ
言わずとも解るだろう そのお方のいいつけだ。」
ここでどれだけ師弟が大切なものかが伝わってきます。
今では考えられないくらいの、二人の純愛。
日影の身であり、力を想うお蔦の姿に、皆、涙したようです。
これから悲しい別れの場面。
この先のお話は次回につなげたいと思います。
瑠依さんはお若いのに、いくらお仕事・お稽古で 馴染みがあるからと言って、よ~~~くご存知ですのネ。 私なんかただ、漠然と感じでくみ取ったりしておりました。 敬服致します。m(_ _)m ★小百合
小百合様。「次回に、、」なんて書いてあるのに、、やっていなくてすいません、、。敬服だなんて、、。お客さんや、新内を知らない方に、説明できなくては、、!!と、色々調べたりしています。