今読み直している本の
「話のたね」 池田弥三郎 著 文芸春秋社
の中に、初めて聞く言葉がありました。
580年七廻り
この本には、古事記や噺本大系など、
多くの古い書物から多くのお話をコンパクトに紹介しています。
その中に、『夫婦もの』の噺を紹介しているページがあります。
噺の最後に、「以後580年添い遂げたという。」という言葉がよく出てきました。
親切に、この580年について説明がありましたので、
抜粋して紹介したいと思います。
似たような話がいくつかある。そのどれもが、
ひと悶着の末によりが戻って、夫婦がもとのさやにおさまる内容だ。
その話の最後に、580年契りをかわした式の祝言が付いている。
「580年七廻り」ということわざで、延命長寿や末長いことのたとえに言う。
七廻りとは干支の七廻りで、60回で一回りする干支が、
七回も廻れば420年生きたことになり、
それに580年を加えると、
ちょうど鶴寿のように千年の長命年数となる。
580年は、江戸の俗説によれば 彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)の
年齢だというがよくわからない。
話のたね 池田弥三郎著 より抜粋。
なるほど、、鶴寿などというおめでたい意味があったのですね。
60回で干支が一廻りということも初めて知ったこと。
江戸時代では、歌舞伎の題名や小屋の言葉など、
火を嫌ったりと、皆げんをかついだといいますが、
日本人の日本語の遊びや、深さは、なんとも面白いものばかりですね。
久々の「日本語 言葉の話」書庫の更新となりました。
本はやはり楽しいですね。
本を読んでいると、不思議と、というか妙に心の琴線に触れる話ってありますよね、そんなことに出会えることが楽しみなのかもなんて思うことがあります。