今日は、久しぶりに東銀座へ。
ふと見上げれば、、、、
「歌舞伎座が、、、ない！」
今更、、、、なんて思われそうですが、、、
まともに跡地、、と言うか壊されている歌舞伎座を見たのは
今日がはじめてかもしれません、、、、。
思わず『二度見』なる物を久しぶりにしてしまいました。
プロントが入っている隣のビルが、
ひょろりと、、なんだか頼りなさげに
でも、なんだか以前より大きくそびえ建っていました。
歌舞伎座は私にとっても思い出深いところ。
初めて歌舞伎を楽しいと思った場所でした。
改めて女優業へ専念しようと思い、
色々な事を学び始めた頃、毎月一回は、必ず足を運んでいました。
今思えば、その頃は一等席がもっぱらで、何も知らなかった。
通うのは良いのだけれど、まだ『耳があかない』私は、
苦痛に耐えかね、眠る事も多々、、、。
でも、『通えば、とにかく見ていれば、分かってくるはず、、。』
そう思って通っていました。
段々と回数を重ねるにつれ、『役者さんの顔』 『台詞』がわかってくるように。
最初はなんだか皆同じ顔に見えたものです（笑）
慣れてくると、疑問が出てきて、本をあさってみたり、師匠へ質問攻めしてみたり。
歌舞伎座近くの古書屋さんで物色してみたり。
その段階が過ぎると、
贔屓の役者さん、そして、好きな演目がうまれます。
玉三郎さんと、菊之助さんの『道成寺』をはじめてみたときは、
本当にポーッとしたものです（笑）
どんどんと通ううちに、色々と好みが出たり、
思うことも変化。
随分後、『歌舞伎座の三階を観察した事がないなァ、、』
なんて思い立ち、三階へ上がり、
歴代役者の写真などに見入った事も。
独りでふらりと行くことが多かったので、
『二階の最前列』が、決まってお気に入りだったからです。
三階のカレーを一度も口にしなかった事を、
やはり、今後悔しています。
月日がたち、、、
苦痛 → 勉強 → 面白み → ファン → 歌舞伎好き → ？？？
色々な段階を踏みました。
夢中になったファン時代、必死になってチケットをとっていた私。
こうして、和モノを続けていると、
色々な方が、チケットや、お知らせなど、くださる事も多くなりました。
本当に皆さんに感謝です。
最近チケットやお誘いが二人分あるときなどは、
『歌舞伎って高いし、、、敷居が高い、、見たこと無い、、、』
なんていう方とご一緒する機会が増えました。
そんな時の楽しみは、
『歌舞伎をよく知らない、初めて見たそんな方達の、素直な感想』
日本舞踊もそうですが、
普段は接点が無いけれど、、と言う方の意見の方が、
率直で、素直であったりするもの。
私の、稽古においても、とても貴重な感想です。
さて、、、、色々歌舞伎座に育ててもらった私ですが、、、
今の段階は、、、、
『お客様を見る』
と言う事が多くなりました。
何を求め、どこで笑い、泣き、、、何を期待しているのかな、、？？？
なんて、静かに会場の空気の流れを感じてみたりします。
もちろん、私自身も、舞台を見ますが、
私でない人はどう見ているのかな、、？？
なんて、、、なんだか職業の病かもしれませんが（笑）
多くの方の思い出が沢山の歌舞伎座ですが、
私はひよっこの１０年せんしゅ（笑）
そんな私がふと思い出しただけで、本当に沢山の思い出。
歌舞伎の先輩方は、もっともっと沢山の思い出があるのだろうなァと思います。
ぽっかりいなくなってしまった歌舞伎座。
なんだか少し寂しい物がありました。
新しい歌舞伎座でも、
沢山の思い出が出来る事、今は期待しています。