以前、「新内と義太夫が血縁」というお話をしたのですが、
今回も
「新内と義太夫 浄瑠璃座」
という会に行ってまいりました。
随分とお勉強になる会で、本当に楽しかったです。
「西の義太夫 東の新内」
あれこれ比べてみたら、、、
今回も、前回に引き続き、
義太夫 浄瑠璃 竹本越考
三味線 鶴沢寛也
新内 浄瑠璃 岡本巳宮之助
三味線 鶴賀喜代寿郎
上調子 新内剛士
という、若手、実力派という豪華なメンバーでの会でした。
「新内と、義太夫の三味線の違い」
という、とても面白いお話(まるで講義のようでした)をしてくださいました。
初めて聞いた物も含め、違いのあれこれを載せてみたいと思います。
①コマ 義太夫→「水牛」で出来ており、コマには「鉛」が入っている。
高さも高めに作られている。
「コマ押さえ」という紐をつけ、コマが移動しないようにする。
鉛が、コマから浮いてしまう事があるそうで、
そのために「小さなトンカチ」の様な物で「こんこん」とたたく。
新内 →象牙。上調子のコマは、長唄さんから来ているくらいのサイズ。
②撥 義太夫→分厚い象牙。撥先の開きが狭く出来ている。撥先も厚い。
かけたときにすぐに直せるよう、
撥先は、「左右小さく三角に取り外しができる」ようになっている。
新内 →撥先が広い一般的な撥、象牙。
上調子の撥は本当に小さく手に隠れるサイズで、
逆に持って演奏する。象牙。
③胴 義太夫→皮が、胴の周りにしっかりととめられている。
相当年季が入らないと、「四つ(猫の皮)」ははれない。
縁がしっかり、打ち込まれている。
中棹のものよりも一回りほど大きく出来ている。
新内 →皮は、出来るだけ縁が目立たないのを好む。
けん(犬の皮)で演奏する事は、太夫さんに失礼に当たることも。
大抵の方がよつです。場所によってはけんも使用。
サイズは小唄長唄などの細棹の一つ上、中棹。
③糸 義太夫→一般的な数字で購入ではなく、
義太夫は、三本、全三種類のみ。業者は二つほど。
新内 →数字で購入。 好みもあり、一応の目安はあっても決まりは無い。
上調子の物などは細い。
とりあえず、大まかにはこんな違いがあります。
義太夫の三味線弾きの方々の持ち物も、新内とは違い面白いです。
その中で面白かったのが、
くず粉・メンタム・藁を燃した物の灰
というアイテム。
くず粉は、「汗をかいた手が滑りやすくなる」ように左手につけるそうです。
メンタムは、「糸を守る(滑りやすくする)」ため、
演奏時に撥がすべるところに塗るそうです。
その昔は、「びんつけ油」を使用していたそうですが、
今は、大抵の方がメンタムのようです。
長唄さんには専用の物があるとか。
藁の灰は、上記とは逆の役割。
「撥を持つ手が汗で滑らないよう」に右手につけるそうです。
新内は、「つめやすり」くらいでしょうか。
こんなにも色々なアイテムを使うとは、やはり
道具が違うだけでも大きな差
が、ありますね。
もちろん、「演奏、曲」にも違いは沢山!!
「演奏、演奏中の違い あれこれ」
を、載せたいと思います。
今回はこんなところで。