「幸田 文」私の大好きな作家さんです。
初めて読んだのは「着物」  和物をしている私に、友達が貸してくれたのがきっかけでした。
読み慣れない文章だったのですがあっという間に読み上げてしまった。 本に夢中になって電車を乗り過ごしたのも幸田文さんの作品が初めてでした。 それからすっかりファン。全集を買いたいのですがまだ、いまだに手にしていません。

「楽しむは 知るの延長 知るは 恐る 慎重につながる」

これはたしか、エッセイ集「雀の手帳」にのっていた言葉。

稽古にまだ慣れず、必死だった頃の私に「楽しむ」事の大切さを教えてくれました。
そして、ものが「わかる」と言う怖さ。知ると言う事。
どんなに「子供のままでいたいなぁ。大人にはなりたくないな。」なんて思ったことか。
学んで、知識も得て、社会の事や人の事が少しずつ判ってくると、戸惑ってしまう頃も。
でも、色々な場面で幸田文さんの作品は私を元気にしてくれました。

幸田文さんは、とても素敵な言葉を使います。
今となっては使う人も、書く人もほとんどいないのではないか。でも、日本語にはこんなに美しい表現や、言葉があるのだと知りました。

私が父をなくした後に目にした一行がありました。

「死なれたのちの親子のつながりというものは、
 おそらく 較べものにならないほどの遥けさになお続くのだろう」

なんていうこともない一行だったのですが、なんだかとても爽やかな気持ちになれたんです。
「父の死」という体験直後の私にとって、「死」と言う言葉は暗く悲しいものでしかありませんでした。
でも、この一行は「遥けさになお続くのだろう」と終わり、なんだかすっとしました。

幸田文さんを読むと色々な発見があります。
素敵な言葉や表現を少しずつ紹介していけたらと思っています。

でも、「筒井康隆」さんの最高なおばか話も大好きなんですよ。
それもまた紹介したいと思います。

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